遺言とは、 人が自分の死後効力を 発生させる目的で,あらかじめ書き残しておく意思表示です。
自分が亡くなってしまった後、財産などを自分の希望に沿って相続したり、贈与したりするには『遺言』という民法の定める一定の方式に従って文章を遺すことが必要です。
遺言書に記載して効力を発生させることのできる内容は、あらかじめ決まっています。『自分の財産を誰に譲りたいか』という財産に関する事項のほか、『子どもを認知する』といった身分行為も遺言に記載することが出来る事項です。
また、強制力はありませんが、『自身の葬儀の方法に関する要望』や『家族への感謝の気持ち』を伝えるなど、法律で定められていない事項も、遺言に書き添えることができます。
遺言を遺すに際し、どんな想いで遺言を書いたのか、遺された家族にどのような気持ちを伝えたいのかが書かれていると、遺言の意図がご家族に伝わり、遺産承継がスムーズに進む場合があります。
遺言を遺した方が良いケース
夫婦の間にお子様がいない家族で配偶者が亡くなった場合、法律で定められている相続人は、残された妻又は夫と、亡くなった配偶者の親、又は兄妹になります。
妻又は夫が亡くなって心痛の中、遺産の事で亡くなった配偶者の親または兄弟姉妹に連絡を取り、協力をお願いすることは、大変な心労です。
亡くなった配偶者が『妻に全財産を相続させる』旨の遺言書を残してくれていれば、遺された妻又は夫が単独で遺言書通りに相続手続きが行えます。
自分がお世話になった人に財産を譲りたい場合 例:内縁関係にある人に財産を遺したい場合 上記のようなケースでは、その旨を記載した遺言書を作成していない限り、法律に規定されている通り、自分の相続人に財産が遺されることになります。
相続人ではない人に、相続財産を譲りたい場合には遺言書が必要になります。
夫が亡くなったが、前妻との間に子供がおり、再婚後は子供がいない場合 亡くなった夫が前婚期間に子供をもうけていた場合には、その子供にも相続する権利があります。
よって相続手続きを行うには、前妻の子と再婚後の妻との間で連絡を取り、協議をする必要があります。
以上のケース以外にも、遺言書があれば相続がスムーズに行える場合があります。
自分の場合は、どういった相続が行われることになるのか、遺言書の作成が必要か 判断に迷われる場合は、是非一度ご相談に来て頂くことをおすすめします。
遺言は書き方が決まっている?
遺言は決められた様式で書き遺さないと、無効になってしまします。
法律で規定されている遺言書は数種類ありますが、ここでは、一般的で多くの方が作成される 自筆証書遺言と公正証書遺言の作成方法やメリット・デメリットについて説明します。
文字通り自分で書いて作る遺言です。
『遺言者自身が誰にも知られずに一人で作成できる』
『自分の気持ちに変化があった場合にすぐに作成し直すことが出来る』
『費用が掛からない』
というメリットがありますが、反面、法律で決められた様式に従って書かないと遺言自体が無効になってしまったり、言葉の使い方によっては、望んだ内容の法律行為を実現できない場合があります。
自筆証書遺言を作成するにはある程度の法律知識が必要になります。
また保管方法によっては、亡くなった後も遺言を見つけてもらえず、せっかく作成した遺言の内容を実現できないおそれもあります。
自筆証書遺言を使用して相続の手続きをする場合には、前提として必ず家庭裁判所へ『自筆証書遺言の検認の申立』の手続きを行わなければなりません。
- 遺言者自身が、遺言書全文を直筆で書く。
(パソコンでの作成は無効となり遺言書となりません。)
- 作成日付を正確に書く。
(○年○月 吉日では、無効となります。)
- 戸籍に記載されている通りの正確な名前を書く。
- 遺言者の印鑑を押す。
- 遺言者自身が誰にも知られずに一人で作成できる。
- 自分の気持ちに変化があった場合にすぐに作成し直すことが出来る。
- 費用が掛からない。
ただし、遺言書の作成方法は法律で細かく規定されているため、よくよく考えて作成しなければなりません。
また、時間を掛けて作成していても少しの間違いや、言葉の違いで、一切が無効、遺言書として使用出来ないことが多くあります。
保管方法や、紛失してしまうおそれなど、自筆証書遺言は、メリットの面よりデメリットの面が多く見受けられます。
なお、自筆証書遺言を使用し相続手続きをする場合には、家庭裁判所で『自筆証書遺言の検認の申立』の手続きを行わなければならず、 時間も費用も掛かることになります。
自筆証書遺言の検認手続きを回避するには、法務局での自筆証書保管制度を利用する方法があります。詳しくはご相談ください。
公正証書遺言は、公証役場にて公証人により作成されるものです。
直接ご自身が公証役場に行き、作成をすることも可能です。
当事務所にご依頼頂くと次のような手順で作成させていただきます。
- 司法書士との面談にて、相談者様のお考えをお聞き致します。
ゆっくりお話しをお聞かせ頂くことで、相談者様自身の本当の気持ちが見えてくる場合があります。
当事務所でも、そういったお客様が多くいらっしゃいます。
その気持ちをきちんと法的に有効な遺言書にするために遺言書の原案を作成いたします。
- 原案の確認
司法書士が作成致しました遺言書原案を、相談者様に御確認頂きます。
もちろん、変更や訂正のご相談も致します。
- 公証人への事前打合せ
原案に基づいて、公証人に事前に遺言書(案)の作成をお願いします。
公証人との連絡や、記載の仕方等も含めて全て司法書士が対応いたします。
公証人から返答される遺言書(案)を、相談者様に最終確認していただきます。
- 公証役場での遺言書の作成
※御身体が不自由で、公証役場まで出向けない場合には費用が掛かりますが、公証人に来て頂くこともできます。
また、証人が2人が必要となりますが、当事務所は2名の司法書士がおりますのでご安心ください。
- 遺言書の原本は公証役場で保管されるので、紛失や改ざんの心配がありません。
- 自筆証書遺言と異なり、検認の手続きが不要で、相続開始後スムーズに手続きが行えます。
- 司法書士と公証人により、法的に有効な遺言書を作成することが出来る。
デメリットとしては、費用が掛かってしまう点がありますが、公正証書遺言の場合のメリットを考えると おすすめするのは、公正証書遺言です。
費用について
遺言書作成にかかる司法書士費用 費用の目安 77,000〜 (税込)
※上記費用の他に、実費(公正証書遺言の場合には公証役場に支払う費用及び証人費用)が発生します。
遺言執行者について
遺言には、遺言執行者が必要なケースがあります。事案により、遺言作成時に遺言執行者を当事務所でお引き受けすることも可能です。
遺言の作成時期、内容により、遺言執行者に指定された方の遺言執行業務を代理することも可能ですので、詳しくはお問い合わせください。